宮城裕治氏のプロフィール
宮城裕治
(クールデザイン)
1962年、東京・江戸川区生まれ。 フォーティーン勤務時代にツアープロ用のクラブ開発に携わり、名器「MT-28」を開発。2006年に独立して(有)クールデザインを創設。ヘッドデザインやソール形状など、使用プロのスイングに最適なクラブ設計を行い支給することで多くのツアープロ、トップアマから支持を受ける。プロギアより発売の「MTI」、ヨネックスの石川遼プロ専用モデルなど、クラブメーカーのウェッジやクラブ開発を手掛け、多くのヒット商品を生み出してきた日本を代表するクラブデザイナー。ゴルフパートナーの開発顧問も担当。
言葉では表現できないものを形にするのが僕の役目
よくウェッジの顔の良し悪しと言いますが、アマチュアの方がウェッジを選ぶのも、そこが重要だと思います。見た目の格好良さ。クラブデザイナーとしては無責任な発言なのかもしれませんが、特にパターやウェッジというのは感覚的な部分に訴える要素が多いんです。
例えが合っているかどうかわかりませんが、ウェッジやパターはそれを眺めながら酒を飲めるけど、ドライバーではそうはできない感じがしませんか(笑)。見た目のフィーリングって本当に大切なんです。
ドライバーやアイアンとは違って、パターやウェッジはプロが使っているものをそのまま使っても使いこなせるものなんです。だから憧れて良い存在なんです。今のウェッジも見た目の格好良さを重視して作っています。
イメージの良いクラブは体の動きをスムーズにしてくれるんです。だからプロもそこにこだわる。言葉にできないものを形にするのがぼくの仕事だと思っています。
見た目が格好良いから手にしたくなるもの
2005年にアメリカから帰国したあとは、お金も無かったので某メーカーのアドバイザリーとしてツアーに行っていました。そこで最後のキーマンとなる谷原秀人プロとの出会いがあったんです。
色んなプロから「宮城さん、もう一回クラブを作ろうよ」と声をかけられました。ある意味でゴルフ界に嫌気がさして退社したというのもあって、またクラブを作ることなんて考えていなかったんですが、正直本当に嬉しかったですね。
ただお金がいることだし、お金がなかったのも事実だったのですが、そこで以前から交流の深かった多くのプロから、自分達がお金を出し合うから、是非やろうと言ってもらったんです。そこまで言ってくれるのなら自分も覚悟を決めないとと思いました。
プロの好意に甘えるわけにはいかないので、それで借金をしてスタートしたんです。背水の陣じゃないですけど、ダメならそれで諦めるという気持ちはありました。ただウェッジの構想は会社を辞める前にすでに出来上がっていました。
肌で感じた日本ツアーと米ツアーの意識の差。それを埋めるのはクラブであり、まずは意識改革が必要だと思いました。スピンで止めることにこだわっていた日本のプロに、本当の寄せ、ウェッジの役目はこういうことだと説得するのには本当に時間がかかりました。